2000年代の日本のレゲエブームは記憶に新しいですが、2023年の現代ではヒップホップ人気がレゲエを完全に上回っています。
それでも日本人の中にはレゲエを愛する人が多く存在します。
なぜこんなに遠く離れた音楽カルチャーが日本で根強い支持を得ているのか、それは「日本とジャマイカの意外な共通性」から考察できます。
今回は、その共通性を探りつつ、再びレゲエで爆発的ブームが到来するか予想してみたいと思います。
◯島国気質
日本もジャマイカも海に囲まれた島国で、規模の違いはあれど、独特の島国気質があります。
その代表例として、持続可能な生活の推進、地域への強い団結心、独自の文化の形成などが挙げられます。
時代が進むにつれて、そのような文化は衰退していきますが、我々のDNAには長い時間を経て形成された習慣が埋め込まれており、レゲエ音楽に対する共感を引き出すかもしれません。
またジャマイカンと日本人というマイノリティな人種という共通性も見出せます。
◯独自の宗教
日本では仏教が多くの人々の精神的支えになっていますが、ジャマイカではキリスト教が主流です。しかし、その中から派生したラスタファリ運動が見られるように、独自の宗派が形成されています。
小さな島国同士が独自の宗教を持つという点は、興味深い共通性と言えます。
◯独自のダンスカルチャー
ジャマイカのストリートダンスは世界的に有名で、町中至る所にサウンドシステムが設置され、夜な夜なパーティーが開かれます。
一方、日本には数百年以上前から存在すると言われる「盆踊り」があります。
盆踊りは、決まった振り付けで皆で踊り楽しむという点で、レゲェダンスホールのニューダンスと共通性を持っています。
また、歴史的には、盆踊りの日に「夜這い」が黙認されていた地域もあり、これがジャマイカの激しくセクシーなダンスに対する理解を深める一助となります。
◯独自の音楽
ジャマイカ音楽の象徴であるレゲエは、80年代の曲を聴くと日本の歌謡曲を思い起こさせることがあります。両者とも感情豊かな歌詞で、愛や別れ、人生の喜びなどを表現します。日本語独自の節回しや旋律は、ジャマイカ音楽でいう「スタイル」に対応すると言えます。
先日行われた、日本初のミュージッククルーズフェス【FAR EAST REGGAE CRUISE】で行われたイベント【BACK TO HARDCORE】でも、老舗ジャマイカサウンドSTONELOVEのRORYが坂本九さんの曲をかけて鬼ボスしていました。
◯菜食主義
日本の歴史では、四足の動物の肉を食べる習慣が戦後から広まったとされています。
それまでは主に魚や野菜を食べており、菜食主義と言える状態でした。
ジャマイカでも、ラスタファリ運動の信者などは四足の動物の肉を食べず、魚や野菜中心の食事をする人が多いです。(宗派・個人によって違いはあります)
このような歴史的な菜食主義が、レゲエ音楽が日本人に愛される一因になっている可能性があります。
◯これからの予想
「ブームは定期的に繰り返す」と言われ、ファッションや音楽のブームは約20年周期で来るとも言われます。ロック、ヒップホップ、レゲエ、テクノなど、各ジャンルは一定の周期で循環しているように見えましたが、ストリーミングサービスの発展や技術の進化により生活環境が大きく変わり、このような周期性はもう存在しないと私は考えています。
現在、ヒップホップは大衆的に大人気です。
テレビやSNSなどの影響も大きいですが、その根底には「誰でも簡単に発信できる状況」があると思います。
例えば、ラップバトルは高校生でも参加でき、スマホで録音・録画し、簡単に発信できます。これが若い世代に受け入れられる要因となっていると推測します。
現代のレゲエ音楽は、ヒップホップの要素が強く、レゲエとしての意味が希薄になっているように感じます。しかし、こうした状況の中で、レゲエが再び注目される可能性があるのは、「アナログ回帰」であると私は考えています。
レゲエの発展過程は、サウンドシステムの製作やレコードにダブを取るなど、アナログで手作り感のあるものでした。これは、現代では逆に贅沢な感じがします。
今、世界の一流アーティストが「アナログ回帰」に舵を取り、自身のスタジオにアナログ機材を揃えているという報道があります。
私が予想するところでは、これから再びレゲエが一大ブームを巻き起こすためには、「独自の文化」と「アナログ回帰」がタイミングよく合わさる必要があります。
この組み合わせが実現すれば、これまでにない大きな波が起こる可能性があります。
「アナログ回帰」について詳しく知りたい方は、以下のオーディオブックをご覧ください。↓
東京バックビート族 林立夫自伝 /林 立夫 (著)
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